Intended purpose :Hotel
structure: steel structure
Number of stories: 10
site area : 208.96sqm
Total floor space : 1,216.50sqm
Location : HIROSHIMA
completion date :2020.03
Construction:今井産業株式会社
Photographer : ad hoc inc 志摩大輔
全国でも数例しかない100mもの道路幅を有し、街路樹の緑が映える平和大通りを南面に臨む稀有な立地に、「無人運営の民泊」を掲げるホテルの計画。計画地は平和大通りを南に臨み中心部でありながら明るく、隣地や周辺にも宿泊施設が多く存在する。今まで宿泊の決め手になっていたのは「価格・立地・ブランド」でしたが、これから「安全・清潔・コンセプト」の3つが宿泊先を決める軸と予想されます。無人運営という宿泊施設におけるサービスの概念を大きく変える、非常に斬新かつ合理的なコンセプト。常駐スタッフがなく、オンラインによる予約や決済を済ます事ができ3密やソーシャルディスタンスを控えるようにすることで宿泊者も安心してサービスを受けられます。建築においても合理性を追求しつつも、無人であることは、建物というハードの部分が、宿泊客の満足度に与える影響は大きいと考え、再訪したいと思えるような施設の設計を目指した。
周辺を意識し、グレーのグラデーションで外観をまとめることで街路樹の緑も映え周辺に調和しつつ品のある佇まいを実現した。正面ではなく建物脇に入口を設けることで、1Fに客室を確保をし収益性の向上を図った。宿泊客は明るく、活気ある通りから建物脇の小路を通り内部へ。内部は表とは逆のやや暗い落ち着いた雰囲気で、そこを通り抜けてドアを開けると陽光と緑があふれる客室が宿泊客を歓迎する。茶室の庭から狭いくぐり戸を抜け内部へ入った時の空間の広がりの感じ方に似たストーリー性のある動線とし、玄関を開けた瞬間の解放感を演出する。床は土間仕上げ、小上がりになった就寝スペースで、室内でも靴で生活をする外国人の習慣にも対応しつつ、日本らしさを感じられる空間とした。また新建材では単に汚れ、劣化と認識される経年による変化も、味わいとして建物に深みを与えるよう、外部にも内部にもあえて素地をそのまま仕上げとしている箇所を設けた。